私たちは多かれ少なかれ、思い出すと痛みを感じる過去の体験を持っているものです。
その体験の記憶がいつまでも尾を引いて、自分をずっと苦しめることがあります。
記憶とはエネルギーの集積です。
けれども、いつまでも変わらないというものではありません。本当は時間を経るにつれ徐々に変わっていきます。
過去の記憶もまた、実は少しづつ変わります。
なぜなら、過去の記憶を創り出しているのは、他ならぬ「今の自分」だからです。
全ては自分のエネルギーの反映です。一年前と今の自分は同じエネルギーではありません。一か月前、一週間前でも同じではありません。厳密に言うと毎瞬毎瞬違います。
エネルギーは常に揺らいで変化しているので、同じように見えることはあっても同じではありません。
「波動」という表現は、エネルギーの在り方を的確に捉えている言葉だな、と思います。
私たちは、同じ出来事を思い出しているつもりで、全く同じことを思い出している訳ではないのです。
過去の記憶に苦しむなら、まずは一瞬でも思考を止めることをお勧めします。
一週間、一晩中辛い記憶を思い返しているなら、そのうちの一分でも思考を止めてみることです。今まで数時間フルに辛い記憶を思い、苦しい感情に苛まれていたなら、そこに7分のニュートラルな空白ができます。少しづつこの空白を増やすことです。
記憶もエネルギーだとお伝えしました。ということは、勢いの増減があるのです。
思い続けると燃料を注ぎ続けることになるので、益々増強する一方です。
勢いがついたエネルギーは変わりにくくなります。変えるためにはまずは勢いを削ぐ必要があります。
これはとても大切で基本的な対処法です。
勢いそのままに、闇雲に手を打ってどれも上手くいかなくて失意のままに諦めてしまう、ということを防ぎます。
もちろん、これはある程度の時間がかかります。
けれども、この空白の積み重ねが、新しいエネルギーが入る隙間になるのです。
「もう嫌だ!」とガチガチに自分の殻を分厚くして、そこに籠っている間は他者の優しさや労り、新しい視野からのアドバイスなどを自分に向けてもらっていたとしても、届きませんよね。私たちそれぞれに心当たりがあると思います。
少し緩まないと、余地ができないと、受け取れないのです。
例え一分でも空白を作ることを始めたなら、あとはできるだけ自分に負荷をかける作業を待ってください。
変わろうと思って頑張って対処すると、消耗します。
自分のブロックを見つけ出して、感情を味わって、苦しみの理由を探して、なりたい自分になろうとする。
心理療法やスピリチュアルの世界で「手放し」として当たり前のように言われることですが、これはものっっっすごいエネルギーの要る作業だと、想像つきますか?
空白作りは、自分がやりたいことをやるためのエネルギーを確保するためでもあります。
同じような日々が続いているように感じて、もどかしく思っても、とにかく可もなく不可もなくのニュートラルな状態を少しでも長く、多く作り続けることです。
これも相当エネルギーが要りますよ。だから、できるだけ他で省エネになるのです。
こういう時は、ヒーリングも限りなく柔らかで温かいものがいいです。
ブロック解除なんて、いつかできます。
「考えないこと」「自分を休ませること」「辛いことから距離を取ること」などは、悪いこと、ダメなことではありません。
前進のための後退です。
清濁併せ飲んで生きていくのが、私たちなのですから。