以前、「好きなことを仕事にしたいけれど、何が好きなのか分からない」というお話を伺いました。
その方に何で好きなことを仕事にしたいのかを尋ねると、「好きなことだったら遣り甲斐を持って自分らしく働けるから」と教えてくださいました。
この時はカウンセリング場面でも何でもない状況でしたので、「自分らしさとは?」とか尋ねるような無粋なことはせず、「私は本当に好きなことは仕事にしたくないですねー」とだけ言いました。
そしたら、その方は大層驚かれて理由を尋ねられました。
私にとって好きなことを仕事にしたくない理由は簡単で、「好きなことは好きなまま置いておきたいから」なんですよね。
私は仕事って、ただ好きなだけではやれないと思うのですけれど。
皆様はどう思われますか?
必ず義務や責任が付いてくるし、綺麗事だけで回っている訳ではないし。
「好き」というエッセンスも確かに大切ではあるけれど、あればいいと思うけれど、それとは別次元で考えた方がいいのが仕事だと思うのです。
長くなればなる程「好き」以外のエッセンスも沢山入ってきますからね。
私は今の仕事が好きかと聞かれたら疑問ですが、「嫌いじゃない」。そして、「合わないとは思わない」。これですよね。
遣り甲斐はもちろんあります。別に好きと思っていなくても、遣り甲斐はあるものです。
その仕事をどう感じるかは大部分、自分がどう向き合うかなのだろうと思います。
話を戻しまして、質問にお返事をし、逆に私も「何で好きなことがいいんですか?」と尋ねました。
そしたら、今度はその回答に私がびっくりで。「そういうものだと思ってた」と。
思わず「何で⁉」って聞きましたよね。お返事は「色んな所にそう書いてあるから」でした。
そうかー・・・。
確かに、就職や転職情報サイト、資格取得のためのサイト、ファッション雑誌などにも「好きなことを仕事にしよう!」みたいなフレーズが溢れてますよね。
それを見た方の中に自ずと「好きなことを仕事にする=幸せ、自分らしさ、遣り甲斐」みたいなキラキラ図式が出来上がってしまうのでしょうね。
セラピストの私が言うのもどうかと思うのですが敢えて言いますと、多分多くの場合で「それは気のせい」ですよね。
好きだろうが嫌いだろうが、「自分がそれを仕事として選んだ」から仕事なのだと思います。
さっきも言いましたが、要は向き合い方だと思うのです。
「大好きな趣味のために大嫌いな仕事を頑張る」。合理的で素晴らしいと思います。
「好きなことが仕事になり、天職になった」。眩し過ぎて羨ましいです。
でも結局、どちらも「アリ」ですよね。
難しく考え過ぎないで、目の前にあることを目一杯やってみるのも一つです。
今の仕事に何の思い入れも持てないなら、「一抜け」するのも大切なことです。
やっぱりここでも、最終的には「自分がどうなのか」。これに尽きますね。