輝く星を纏った黒のベールに覆われたなら「こちら側」から「あちら側」へとお行きなさい。
密やかに。秘めやかに。
二つを隔てる境界は曖昧になり、あらゆる生命が解放の喜びを謳歌します。
暫しの間肉体から解放され、夢の中で遊び、舞い踊るあなたは、己が本来、何者にも囚われない自由な魂の存在だということを思い出しています。
あなたがありのままの姿となって官能と歓喜に打ち震える様を、私たちは限りない愛と恍惚に満ちた闇の中で護るのです。
ベールの黒が白い光に溶け始める頃、あなたは再び「あちら側」から「こちら側」へと帰ってきます。
夢の中で行われたのは秘密の宴。あなたは思うことでしょう。
「目が醒めた時、きっと忘れている」と。
でも、本当に?
いいえ、あなたは覚えています。
打ち震える程の官能の感覚を忘れられるはずがないでしょう?
目が醒めて、いつも通りの日常が始まっても、あなたの心は甘く疼き出すのです。
どこまでも自由で、どこまでも官能的な自分が、本来の姿であることを知っているから。
~夜の護り手より~